2010年06月19日

力士野球賭博 武蔵川理事長、角界浄化を誓う(毎日新聞)

 角界の異常事態は、いつまで続くのか。野球賭博への関与を認めた大相撲の大関・琴光喜関(34)ら協会員の賭博問題で、日本相撲協会が15日、東京・両国国技館で緊急理事会を開いた。名古屋場所の維持員席での暴力団観戦問題で、木瀬部屋が閉鎖されるなどの処分が行われてから、わずか半月余り。会見した協会の武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は、「ウミを出し切る」と強い決意で角界浄化を誓った。

 午後1時から約1時間半の理事会後、会見場に現れた武蔵川理事長は今回の不祥事を謝罪。維持員席問題に続き、今回の野球賭博にも暴力団の影がちらつくだけに、「暴力団との付き合いは一切させないし、しない。性根を入れて協会全体として取り組んでいく」と語った。会見中は時おり顔をこわばらせ、終始厳しい表情を浮かべたままだった。

 琴光喜関の師匠である佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は理事会で、琴光喜関の当面の謹慎と名古屋場所(7月11日初日)の出場辞退を申し出た。理事会終了後に両国国技館の外で取材に応じた佐渡ケ嶽親方は、身長190センチを超える大きな体を丸めて「世間をお騒がせして申し訳ありません」と頭を下げ、目をうるませながら「部屋として師匠として、出場辞退を申し入れました」と語った。出場辞退は、親方自身の判断という。「(琴光喜関は)現役続行できるのか」との問いには「それは……」と言葉を濁し、神妙な表情のまま車に乗り込み、国技館を後にした。

 理事会に出席した多くの親方たちは、「私から何も申し上げられない」などと固く口を結んだ。しかし、あるベテラン親方は「1場所休場」という責任の取らせ方に不満の様子で、「引退させるぐらいの気持ちでないと。(琴光喜関が当初は賭博への関与を否定していたことへの釈明がなかったのも)おかしいだろ」と首をかしげていた。【大矢伸一、高橋秀明、藤野智成】

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2010年06月15日

阿久根市長、県派遣の職員のボーナスも半減(読売新聞)

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、職員や市議のボーナスを半減する条例改正を議会に諮らずに専決処分した問題で、市教委に派遣されている県教委の男性職員3人のボーナスも半減されることがわかった。

 県教委は市教委に改善を求めているが、市教委から返答はないという。

 県教委総務福利課によると、職員の派遣は県内43市町村教委の要請を受けて行っており、派遣期間はおおむね3年。この間、市町村教委は派遣職員に県教委と同等の給与やボーナスを支払うことが条件だが、今回、採用先である市町村の条例が優先されるという。夏季ボーナスの支給は30日。

 阿久根市教委に派遣しているのは、40、50歳代の課長職1人と係長職2人で、いずれも小中学校の校長らを指導している。県教委は5月31日、市教委幹部に3人の給与やボーナスをこれまでの水準で支給するよう要請。幹部は「市長に伝える」と答えたが、返答はないという。

 県教委は「3人には従来通りに支給し、仕事に専念できる環境を作ってほしい。市教委に要請し続けるしかない」と話している。

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2010年06月10日

700年前の政権交代に思う(産経新聞)

【土・日曜日に書く】

 ≪現実忘れた政治の末路≫

 いまから約700年前に、日本史の画期ともなった「政権交代」があった。後醍醐天皇による鎌倉幕府の打倒である。

 元弘3(1333)年、隠岐に配流中の天皇はひそかに島を抜け出た。皇子の大塔宮護良(おおとうのみやもりよし)親王や楠木正成、赤松円心らが各地で蜂起する。実力者の足利尊氏まで反旗を翻し、鎌倉幕府は約150年にわたる歴史の幕を閉じた。

 後醍醐天皇が始めた政治は、年号から「建武の新政」と呼ばれる。「朕(ちん)が新儀(しんぎ)は未来の先例たるべし」(私が始める新しいやり方が、後世の規範となる)の言葉の通り気概はあふれていたが、実際は天皇による時代錯誤な独裁でしかなかった。

 このような政権など長続きするはずもない。新政を歓迎していた武士や農民たちが失望し、公家ですら「物狂の沙汰(さた)」(後愚昧記(ごくまいき))と、さじを投げた。2年後には、足利尊氏が政権打倒のリーダーとして名乗りを上げる。

 新政を批判した著名な史料として、「二条河原の落書(らくしょ)」がある。「このごろ都にはやるもの。夜討強盗、謀綸旨(にせりんじ)」で始まる一文である。内裏に近い二条河原に張り出されたこの落書は、「治安が悪くなる一方で、恩賞は不公平。みんな平気でうそをつき、成り上がり者ばかりが幅を利かせている」などと、当時の社会の混乱を生々しく描き出している。

 新政は末期的な症状を呈していた。にもかかわらず後醍醐天皇は有効な手を打てず、尊氏率いる軍勢の前に、正成らの忠臣を次々と失ってしまう。最後はわずかな側近とともに、吉野山へ逃げ込むしかなかった。

 ≪しぼむ「新政」への幻想≫

 さて、ここからは現代(いま)の話である。昨年9月、衆望を担って誕生したはずの鳩山由紀夫内閣は、普天間飛行場の移設と「政治とカネ」をめぐる問題の責任を取るとして退陣した。後継首相には菅直人副総理・財務相が決まった。

 彼らが声高に叫んだ政権交代とは、いったい何だったのだろう。民主党を中心とした連立政権が始めた「新しい政治」なるものの内実は、旧政権の政策をすべて否定し、財源の見通しもないままカネをばらまき国民の歓心を買おうとしただけではなかったか。

 喝采(かっさい)をもって迎え入れた人々もしだいに、「新しい政治」が幻想に終わりそうなことを察知し始めた。失望のあらわれは10%台の内閣支持率である。

 このままでは、7月に迫った参院選で惨敗し、政権の運営も厳しくなる。鳩山首相と小沢一郎民主党幹事長は大いに焦り、2人そろって職を辞することとした。それが、今回の「小鳩同時退陣」の脚本なのだろう。

 派手な退任劇によって、「今度こそクリーンで新しい民主党に生まれ変わった」と印象づける狙いだが、有権者も簡単にはだまされまい。与党政治家の多くは国民全体の安全や幸福など真剣に考えてはおらず、一部の利益や特定のイデオロギー実現のために働いていると見透かされているからだ。

 ≪「退廃」の腐臭を感じる≫

 「新しい政治」は、いつも待望される。自民党政権は過去の実績にすがるだけで時代に合致した改革が求められていることを忘れ、国民の信頼を失ってしまった。戦後初の本格的政権交代にも、それなりの理由はあった。

 しかし、政権交代の主役たちの志操は低かったというしかない。最高権力者である小沢幹事長の威光を恐れ、「政治とカネ」の問題にも、批判は出なかった。「民主党」を名乗りながら、党内民主主義すらなかったのである。

 口蹄(こうてい)疫の感染拡大に対する対応の鈍感さや、郵政改革法案をごり押しして恥じないさまなどにいたっては、見苦しいばかりである。政権を取ったおごりを通り越し、すでに退廃が始まった腐臭を感じてしまう。

 後醍醐天皇の新政は、わずか3年半で崩壊した。700年後に産声をあげた新政も、まだ8カ月余りではあるが大きく傾きかけている。民主党への支持率は盛り返しているようだが、といって国民がすべてを帳消しにし、ふたたび高い期待を寄せるとはとても思えないのである。

 この混迷を救うキーワードがあるとすれば、「公の精神の回復」だと筆者は考えている。ひとりよがりの「友愛」などでは決してない。私利私欲を離れ、真にこの国を立て直す勇気と行動力に基づいた「新しい政治」こそが、待ち望まれている。(論説副委員長・渡部裕明)

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